【書評】転職する前に読んでおきたい『転職の思考法』レビュー

今の日本で転職と聞くと何となく悪いイメージを持つ人が多いと思います。

今回は転職に対する悪いイメージを変える一冊『転職の思考法』を読んでみて大事だと感じた部分をまとめます。

キャッチコピーは、「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む」です。

ストーリー形式で進む転職への道

本書は一般的な自己啓発本、ビジネス書や転職専門書とは異なり、ストーリー形式で書かれているので非常に読みやすいです。

主人公が転職を決意して実際に転職するまでの物語なので感情移入しやすいのが良いと感じました。

マーケットバリューという基準値

本書の中で出てくるキーワードの1つに「マーケットバリュー」というものがあります。

あまり聞きなれない言葉ですが、これはそのまま直訳すると市場価値です。

これは自分自身の市場価値という意味で使われていて、マーケットバリューは大きく分けて3つで構成されています。

①技術資産・・・価値のある技術。(『専門性』と『経験』)

②人的資産・・・人脈。(会社を変えたとしても、変わらず仕事をくれる人はいるか)

③業界の生産性・・・平均1人当たりどれほどの価値を生み出しているか。

特に③の業界の生産性はマーケットバリューの中で一番重要とされています。

転職先の企業を考えるうえで成長している業界や会社を選択することは非常に重要であることは誰でも分かるでしょう。

自分が興味のある業界をとるのか、成長性をとるのかは誰もが一番悩むのではないかと思いますが、業界自体に成長性があるのは長期的に見るとやっぱり有利なのかもしれません。

厳しいようですが、これが現実なのかなーと思い知らされました。

仕事に関する名言が深い

主人公に転職のノウハウを教える師匠的な役割を担うコンサルタントは相当な現実主義で自分にも他人にも厳しい人ですが、たびたび出てくる名言には架空のストーリーに留まらない実用的な重さがあります。

企業の成長が止まると、人々は、急に社内の噂話に花を咲かせ始める

成長していく途中ではライバル企業やマーケットなど外側に目が向いているもので、そうでなくなった時には内側に目が向いてしまうことから、こういった状態になりがちというのが理由となっています。

営業にとっていちばんつらいのは、自社のサービスに自信が持てないことだ

自分が信じていないものを売る、これほど人の心を殺す行為はないんだ

営業職の主人公とコンサルタントの会話の中で出てくる、営業に関する痛烈な言葉です。

冷静に考えれば、自分が本当に良いと思えない商品をクライアントに売り込むのは矛盾というか理にかなっていないように感じます。

それでも人によっては、ノルマの為に売らなければならない状況にあるのが現実です。

主人公が転職を考えた理由の1つに「商品に自信が持てない」ということを挙げているくらい本書の中でもこの点は非常にリアルに描かれています。

いつでも転職できるような人間が、それでも転職しない会社。それが最強だ

マーケットバリューが高くてどんな会社でも活躍できるような優秀な人材が辞めない、そういう会社だけが今の時代を生き残れるとされています。

単純な離職率だけでは測れないかもしれませんが、本当に良い会社かどうかを判断する時にはこの点は無視できないですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「転職は悪」というイメージが強い日本で、転職に対するイメージが変わるのは難しいと思います。

しかし、本書の著者のような考え方をする方が出てきたということはそう遠くない将来、転職が当たり前の時代が来るのかもしれません。

今の仕事が上手くいかないという方がいたとしたら、それは自分に仕事が合っていないからかもしれません。

読みやすいわりに内容が濃いので、ここでは書ききれなかったことがまだまだあります。

転職を考えている方にだけではなく、今の働き方が当たり前だと思っている方にも読んでいただきたい本なので、この記事で少しでも気になった方はぜひ読んでみてください。

ではまた。